休日の店米山武はサキチとエイコだけの空間になっていた。と言っても60年近く一緒にいると話すこともないらしく、サキチが新聞を読む座卓の傍らで、エイコはちぎり絵や絵手紙にいそしんでいた。50代で始めたちぎり絵や水墨画を市民文化祭などに出展し、今では老人会のお弁当箱の表紙や敷紙を頼まれるようになったという。題材は名画をみようみまねで描いたもの、旅先での風景、愛読誌・婦人画報のお気に入りのページ、魚や花などのいただきものなど、その時描きたいと思ったものが題材になっている。
同じテーブルの上で繰り広げられるそれぞれの楽しみ。
しかし2006年3月にサキチが他界し、一時期筆が進まなかった時期があるが、ふたたび描き始めるようになった。