居酒屋せいこのレシピのイントロを書いてふと気づいた。そういえば、坂道の多い町だなぁと。尾道、佐世保と港町には坂道が多い。坂道で有名なのは長崎だが、気仙沼も坂道だらけだ。化粧坂、煎餅坂、泥棒坂、三坂…。平坦な土地の少ない気仙沼の魚町・南町地域は斜面を切り崩して平地を確保する。坂道がひとつ出来ると、肋骨のように坂道が生まれ、家が建てられていく。面白いことに、私道で作られた坂道は頂上へ上る道と下につながる二つの道が作られる。 小学校の帰り道は毎日が冒険だった。標高30メートル位の小高い丘にあり、通学路が予め決められているが、子供が守るはずもない。これが所定の通学路だ。松屋商店→清護寺→金光教会→森博商店のコースを外れ、精工堂の自宅前→中川食堂の自宅→浜見山駐車場→紫神社というコースもあれば、あさひ鮨と花久の間の階段というショートカットあり、清護寺と清龍庵の墓地→カトリック教会という肝だめしコースもあった。一人が新しい道を見つけると、次から次へと小学生が通りだすのだから、自宅を通学路にされた人達はたまったものではない。猪苗代病院を抜けるコースもあった。そのうち学校にクレームが入って厳しく制限されてしまったが、子供の足でも15分あれば帰れる道を1時間半かけて帰れるほどの道があった。ここに記した1562分の1の地図にも載らない坂道が満載だ。 尾道を舞台にした林芙美子の『風琴と魚の町』にかけて、気仙沼を「坂道と魚の町」と呼ぶことにしよう。 次々とお題が出るものだから、気仙沼にいるフミヒデとセイコはてんやわんやだ。少しずつアップしてきますので、もうしばらくお待ち下さい。 絵/奥原しんこ「雪景色」(平成15年) |