それにしても気仙沼はコンテンツ満載のまちである。住み続けている者にとっては当たり前の光景でも、ちょっと立ち止まって見るだけで様々な変化が観察できる。港に目をやれば、マグロ延縄漁船、イカ釣り船、カツオ一本釣り船…漁船でも形状や装備が違う。さらに、ヨットやクルーザーなどのプレジャーボート、消防艇や浚渫船などの業務用船舶も係留されており、空母や豪華客船とまではいかないが、ほとんどの船舶が気仙沼港へ入港する。 フミヒデは1970年頃に自動車免許と一緒に小型船舶一級の免許を取得した。将来船乗りを目指すため、というわけでもなく、ついでに取得しておこう程度の気分だったと聞く。当時、石原裕次郎はクルーザーに乗り、加山雄三はヨットに乗って黄色い声援を浴びていたのを考えれば、船舶免許は口説きの必須アイテムだったのかもしれない。ところが、船は自動車と違い高価で維持費用も高く、誰もが所有できるものではない。未だにペーパーキャプテンではあるが、せめてもの気晴らしに人の船を撮って気分だけでも船長に…。 題字/成澤秀麗「港」(平成17年) |