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シズルとスッカゲル

シズルとスッカゲル

むかし、弟をいじめると「シズんでね!」ときつく叱られた。同級生のひろみちゃんを追っかけたら「あまりスッカゲんでね!」と咎められた。シズルは「からかう」に近く、スッカゲルは「ちょっかいを出す」に近い。「シズんでね!」は力関係で優位に立つAがBに接触し、「スッカゲんでね!」は同等の関係で接触し、悲惨な結末を予測できる第三者が注意する場面で使われる。両方とも大人が子供に発する場面が多いように思う。しかし、大人同士でも使われる。この二つの境界線はどこにあるのか、次の例文で考えてみた。

「彼はスナックでママをシズった。」

この場面から想像できるのは、ママに対し「しわくちゃババア」と言ったとか、接客態度に腹を立て「二度と来ない」と言ったとかの類であり、酒場の会話として成立する。では、

「彼はスナックでママにスッカゲだ。」

になるとどうなるか。こちらは手を握る、口説く、胸をもむなど、肉体的接触となろう。このように「シズル」と「スッカゲル」を比べると、どちらも接触ではあるが精神的か肉体的かの違いが浮かび上がってくる。主婦の店あたりで

「こないだお宅の旦那さんにスッカゲられまして〜」

なんて言われたものなら、家中が大騒ぎである。かどうかは家庭によると思うが、大人同士でのスッカゲ合いは広範囲の肉体的接触を相手に想像させるので、十分に留意して使わなければならない。


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