(1)「マギーすんず君、気仙沼弁でテレビさ出はったらいいんでねがす?」「ホンダでば。」
(2)「あいづ、まだ盆踊りさ出でだっつぁ。おまづりわらすだなゃ。」「ホンダっから。」
(3)「きどごろ寝すんでねがら。ね、お父さん。」「ホンダ、ホンダ。母ちゃんの言う通りだ。」
(4)「ホンダけんと、予算はあんのすか。」
1980年、ホンダ「シティ」のCMは全国のチビッコ達のネタになった。あのマッドネス歩きである。
それはともかく、同感を示す「ホンダ」は全国で使われている。例にたがわず気仙沼でも使うが、語尾に特徴があり、男ホンダと女ホンダに分類される。
(1)の「でば」は主に女性が強い共感を示す場合に使う。「マギー審司君、気仙沼弁でテレビに出演したらいいのにね。」に対して「そうだよねー。」と共感の意を示すことで場の雰囲気は一気にひとつにまとまっていく。
(2)の「っから」も主に女性が使う。(1)と違うのは、第三者を話題にしている、軽蔑や苦々しさも含まれていることである。渡鬼でいえば、泉ピン子の噂を耳にした赤木春江のしかめっ面を想像すると良い。「あの御方、また盆踊りにお出になられたそうよ。まったくお祭り大好き人間ですわね。」「そうよねぇ〜。」である。
(3)はいわゆる空返事である。男性が主に使う。自分にとってはどうでもいいことで、場の雰囲気と威厳を乱さぬよう一応言っておくか、程度の返事である。
(4)もどちらかといえば男性が多用しているであろう。同感のような否定である。「しかし」ではなく「そうだけれども」に近い。ホンダけんとが連続出演するような会議は要注意である。総論賛成、各論反対だからだ。
これらはすべて既知の情報、いわゆる想定内の範囲への反応であり、共感が連帯へつながるキーワードである。逆に想定外の反応は「バ」である。