へんぴなところ
大船渡沿線情報をまとめているサイトがある。ドラゴンレール大船渡線。帰省でバスを使うようになってから、ほとんど乗らなくなったなべつる線。気仙沼が遠く感じるのはこのなべつるのせいでないかと思ったことがある。東京から3時間強って全国的にみたら普通なのに、なぜ遠く感じるのだろう。あれはたぶん、一関まで弾丸の如く(古いね)着いた後の、レールの継ぎ目音と道草を食うような路線。高速降りたての一般道がのろく感じるあの感覚と一緒かもしれない。
と書きながら思い出した。20代はじめのころ、モスバーガーを創業した桜田慧さんに会った。桜田さんは僕の上司がつとめていた証券会社の後輩だったらしく、名刺交換している脇で上司は僕が気仙沼出身だと紹介した。
「おぉそうか。僕は大船渡で育ったんだ。」
「そうですか!へんぴですけどいいところですよね。」
「……。」
一瞬の沈黙。いま思えば「大船渡は辺鄙だけど、気仙沼は辺鄙でない」と受け取ったんだろうなあ。気仙沼も含めて辺鄙と言いたかったはずなのに、緊張とうれしさが重なって、主語を端折ってしまった。
いまなら大船渡沿線はなべつる線で不便に見えるけどいいところ、と言えるのに。
KENJI
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