気仙沼組で押しかけた。本人がステージで「怪しいタイトル」と語った通り、お前は演歌歌手かっ!とでも突っ込みたくなるタイトル。決定過程は知らないけれど、数ある候補から選んだのは彼女自身だろうと勘ぐっている。飾らない人柄というか、バシーンと直球ど真ん中を投げてくるというか。タイトルを見て美由紀ちゃんの歌への想いは今も昔も変わらないと思った。そんな怪しいタイトルにもかかわらず、チケットは発売初日に完売、2150席あるオーチャードホールは満席。会場が見渡せる3階席だったので、下を見たら頭、頭、頭。美由紀ちゃんおめでとう〜!すごいよすごいよ!観客なのに関係者の気分で興奮した。
約2時間半、25曲にゲストがてんこ盛り。小沼ようすけ、ハナレグミ、笹子重治、キリンジ、アン・サリー、中納良恵、次から次へと入れ替わった。お楽しみ企画でリリー・フランキーとの「ロンリー・チャップリン」は会場からどよめきと笑いが起きた。オーチャードホールだからってタキシード着用なんだもの、リリーさん。しかも白いマフラーぶら下げて。袖に下がるとき「二人で気仙沼へ営業行きましょう」だって。うはは。宮常マーケットで流す二人を想像して笑ってしまった。
ハナレグミの永積君はどうやらアドリブで歌ったらしく、マネジャーが一生懸命探し出した歌詞が「気仙沼のねえちゃん15周年おめでとう、何ちゃらかんちゃら〜」に変わっていて、美由紀ちゃんは涅槃仏のようにズッコけていた。
歌はといえば、伸びやかで、哀愁ただよう低音に眼球の奥が潤ってきた。どの曲だったか覚えていない。ボロボロ流す涙でなく、何ていうのだろう、うるうるでもなく、じわっとくる感じ。魂が震えるってこういうのを言うのだろうか。それとアンコールで歌ったアカペラ、会場がひとつにまとまったのを感じた。静まりかえる客席。咳の一つも聞こえない。かく言う僕も目をつぶって歌声に酔いしれた。
KENJI
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