ウィリー・シングルトン
ウィリーさんが11月にやってくる。
彼の父上は文化人類学者で研究テーマは「太平洋諸島の教育と文化」。シングルトン家は父の在外研究とともに日本、ハワイ、トラック諸島など太平洋の島々に移住していたそうな。大学時代、社会学から陶芸に転向して日本縦断陶芸の旅を敢行したというからすごい。「益子にも唐津にも薩摩にも自転車で行った」と言う。その話を聞いてオイオイ、益子と唐津は1200キロも離れているぞと突っ込みたかったが、ペダルをこいで駆け抜けるほどの情熱が有り余っていたのだろう。丹波、信楽、益子で日本語の壁と格闘しながら修行を積み、地元に帰って開窯した。そんで登り窯を自分で作っちゃったんだもの。
で、近くの山で採った粘土質の土を漉し、灰釉など近所の農家から譲り受けたものを燃やして作る釉薬が多い。全て手作業だ。蹴りろくろを使い、自然乾燥させ、薪の炎だけを頼りに焼成する。灰釉は1200度以上にならないと溶けない高火度釉だから、ウィリー式登り窯の内部は1300度まで上げるため、三日三晩薪を燃やし続ける。この作業を年2〜3回、20年近く繰り返している。
ウィリーさんは「僕はお金がないから、そこにあるものを使っているだけ」と照れ笑いするけれど、自然にあるものが人間の手で器になる、その工程を一人で完成させてしまうのだから尊敬してしまう。ウィリーさんの器に食材をのせると、作業光景が目に浮かび、コンビニで買った春雨サラダでもさらにおいしく感じるのですよ、これが。
お猪口から壺まで大小の器を即売します。是非見に来てください。日が迫ったらまた連絡します。それでは。
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