喪服で汽笛を聞きながら
先輩の父上が熊に襲われて亡くなった。ニュースになっていたとは知らず、訃報のファックスが届いて絶句した。富山県入善町、黒部川扇状地の丘に先輩の家がある。「よく熊がでる」と冗談めいていたが、まさか父上が遭うとは本当に気の毒でならない。「変な夢を見ているみたい」と語るお孫さんの弔辞に涙がでた。
北陸本線から見える立山連峰は、朝もやが尾根を際立たせて、切り絵が何枚も重なったような風景だった。陰影を許さないほどの急斜面なのだろう。反対側を見ると富山湾はすぐそこ。タクシードライバーも食堂のおばちゃんも「北陸は山が近いから熊が出る」と言っていた。熊の立場になれば、あんな険しい山でエサ探すより人里の方が楽なのかもしれない。観察してみたいと軽く考えていたけど、自然は厳しい。
ご冥福をお祈りします。
KENJI
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