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2007-03-18

おっぴい降臨

Chanel

 シャネル2007ピグマリオン・デイズへ。

 ピグマリオンとは「才能を信じて支援して、開花させる人」を意味するらしく、創始者マドモアゼル・シャネルは無名時代のピカソやジャン・コクトーを支援していたそうな。その精神を引き継いで、日本でも若手音楽家を招いたコンサートが開催されている。今回はfumihideのいとこが出演するので行ってみた。

 桐朋音大のディプロマコースに通う伊藤麻耶さん。正面から見たらそうでないけど、演奏中の横顔はキヨエおっぴい(1900-1993)そっくりだった。って娘時代のおっぴいは知らないけれど、中山のおばちゃんのような、馬場さまのような、着物作家さんのような。おばさま方の片鱗から何となく想像できて、弾き込んでしかめっ面したところなんかおっぴいが降臨したかのようだ。こないだカモメの記事で指摘された「僕とdegは似ている」ってこういうことなんだと思う。パーツのどこかは似るのだと。

 そして肝心の音は、さすがディプロマ。思わず身を乗り出して指先を見つめてしまう。僕の勝手な印象を言えば、力強くて鋭い音だと思った。って、おっぴいのしかめっ面イメージに引っ張られて聴いてしまったかも。

KENJI

 

 

2007-01-03

心で聴く

Basie200701

 一関ベイシーへ。明らかに常連でない人たちで埋まり、咀嚼しやすい曲が流れ、この選曲は観光客向けかしらん、と思っていた。

 そしたら突然スピーカーが暴れだした。カウントベイシーの『カウント・オン・ザ・コースト』。管楽器の重厚な響きが骨の髄まで伝わってくる。揺れていたタバコの煙が連続性を失って、衝撃波で分解したのかと思うほど粒子状になっている。なんだろう、急に。

 少し経って、その理由が分かった。

 はす向かいに手話で話すカップルが座っていた。

 機材もLPコレクションも日本屈指だろうけど、無言の配慮、それが一流のジャズ喫茶たるゆえんか。客にあわせて骨伝導しやすい曲を選んだのだろう。マスターから「音は耳で聴くものではない」と無言で諭されたように思えて、音がズシンと魂に響く。そのうち涙が1個こぼれて、ばれないように上を向いたら気仙沼の写真が飾ってあるじゃないの。リアスアーク美術館から見た夜明け前の気仙沼。余計涙が止まらなくなる。

 心あたたまる人たちに囲まれた幸せをかみしめて帰京した。

KENJI

 

2006-12-20

日立グループCM「地雷除去篇」

 先週末、映像と歌声が妙にマッチするCMがあって、こたつに肘ついて前傾姿勢で見入ってしまった。歌声が畠山美由紀そっくりで、誰だろうと思ったけど字幕が出なかったのでそのままスルー。

 そしたら昨日ファンクラブから「日立のCMソング歌っています」とメールがきた。いやあ、本人が歌ってるんじゃないの。

 日立グループCM「地雷除去篇」は、TBS(東北放送)の「日立 世界ふしぎ発見」、フジ(仙台放送)「ニュースJAPAN」で放映されているのでぜひぜひ。

 気仙沼の歌姫、がんばれ~

KENJI

2006-08-19

無言有音のおもてなし

 というわけで、閉店中のベイシーへ。スピーカー正面の席に案内される。僕はオーディオにさほど興味があるわけでもなく、ホスト役なのでスピーカーに背を向けて座った。

 1枚目。名盤中の名盤、アート・ペッパー。アルトサックスが鳴り出した瞬間、思わず振りむいてしまった。なに、この立体感。誰かそこで吹いてんじゃないの。目をつむると鼓膜を抜けて脳内で弾かれている感覚におちいる。スピーカーの手前の席で、マスターが足を組み、腕を伸ばしてうつむいている。その格好が「これがオレの相方だ。今日もいい音だしやがって、フッ」とでも言いたげだ。って僕の想像だけど。

 2枚目。トミー・フラナガン。ホスト役なんかどうでもよくなってきた。僕も正面に座りなおし、スピーカーと対峙するがかなわない。前後左右どころか上下からも包み込まれる。ピアノの響板の中で、目前に弦があるような感じ。「カンファメーション」では身震いがして泣きそうになる。マスターが外へ出るふりをして、僕たちの様子を伺いにきたのだろう。その背中に「してやったり」と書かれているように見えた。って、これも僕の想像だけど。

 いま考えてみると、この2枚のレコードは一見客にあったものを選んでくれたように思う。あっという間にフルコースを平らげた気分だもの。

 無言だけど音でもてなしを受けて、3人とも大満足で店をでた。

KENJI

2006-08-18

ベイシー詣

Basie おととい、広島在住の友人夫妻と一関で会う。二人とも初の東北旅行らしく、オーディオマニアの夫がどうしても外せない聖地ということで、ジャズ喫茶「ベイシー」へ行く。けれども水曜は定休日。だめもとで駅から電話してみた。

「はい~?」

 この声はたぶんマスターだ。ということは開いてるのだろうか。客商売なら普通「ありがとうございます。ベイシーでございます」とでも出るだろうに、定休日なのに電話する輩に嫌気がさしたのだろうか。それとも民家に間違い電話?名乗らぬ相手に緊張して、標準語とも気仙沼弁ともいえぬイントネーションで話してしまった。

「あの~、今日お店はやってますでしょうか。」

「わざわざ来てんだったら開げっから。定休日の看板あがってっけど、そのまま入ってきて。ガチャ!」

 中途半端な訛りが茨城あたりに聞こえたのだろうか。どこから来たかいっさい話さないうちに電話が切れた。通話時間は17秒。ともかくも、本当に「わざわざ来た」友人は狂喜乱舞した。

 へりくだりもせず、着飾りもしない応対に職人気質を感じながら、ベイシーへ向かう。

KENJI

河原田ライブカメラ

BBっといー東北