震災その後
叔父が遺体でみつかり、土葬した。叔母はまだ見つからない。親戚のおばさんは一昨日火葬。むせび泣きもここまでくると涙もでない。前を向いて歩いていくしかないんだもの。被災地で暮らす人達はどんな思いでいるんだろう。電話口では気丈に振る舞っているけれど、あのときの話になると涙声になる。従妹は津波と火災を目の当たりにした。「あたし死ぬのね、死ぬのね」と上司のズボンにすがりついたという。だれもがそういう体験をしたんだと思うと胸がつぶれそうになる。
家族はかろうじて生き残ったが、間一髪だった。地震発生時、妹は近所で髪を切っていた。路上で狼狽する人達をみて、ただごとではないと察知して支払いせずに帰宅した。母は台所でお支度をしていた。祖母は2階にいた。下に降りようとする祖母を父が制止した。母が店のサッシとカーテンを閉めたところで波が来た。母は最初、手でガラス戸をおさえていたという。すき間から水が漏れだして、ガラスが割れる前に2階へ駆け上がった。ものの数分で1階天井まで浸水した。店が流されていたら、どうなっていたか分からない。
復旧に向かった弟からは「兄貴は帰ってこなくていいがら。そっちで稼いで金送れ」と電話があった。その通りだと思う。家族は収入の大半を失った。第二の津波がもうすでに来ている。自然災害は僕にはどうしようもないけれど、経済災害を少しでも食い止められるように、一生懸命働こうと思う。
KENJI
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