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2005-09-14

神戸で聴く東北の情景

Kobe_sone  関西への出張がてら、ちょうど小曽根真さん作曲のピアノコンチェルト『もがみ』が演奏されることを知り、神戸へ。この曲は一昨年の国民文化祭やまがた2003で発表された作品で、最上川舟歌が随所に散りばめられていると聞いていた。演奏は小曽根さんにコスタリカ国立交響楽団、指揮は小松長生さん。曲目解説を先に読んでしまうとそのイメージに引っ張られてしまうので、読まずに席へ着いた。

 さて、小曽根さんと中南米の演奏家が奏でる東北の情景とはどんなものか、身を乗り出して聴いてみた。

 泉から水が湧き出て、徐々に川になっていくイメージが浮かんできた。『もがみ』とは最上川なのだろう、という当初の予想とほぼ一致している。次に浮かんできたのが泉ピン子と伊東四朗である。「おしん」こと小林綾子がいかだに乗せられて奉公に出るあの名場面である。雪が解けるか否かの川辺でおしんを見送って、泉ピン子が「おすーん!おすーん!」と嗚咽し、遠くから伊東四朗が見つめて涙を流している。とイメージした瞬間、クラシックと泉ピン子の組み合わせが可笑しくて、ひとりニヤニヤしてしまった。あー、やっぱり予習しておけば良かったと後悔したが、ここまできたら自分の感性を信じるしかない。

 順番は忘れたが、曲中にイメージしたものを羅列すると「海」「酒田港」「山居倉庫」「最上川舟下り」「イーストリバー」「モーツァルト」「ガーシュイン」「ブロードウェイ」「四季」「自然」であった。ジャズの即興のような音色が響いたり、モーツァルトのように繊細だけど骨太な旋律だったり、かと思えば最上川舟歌の「エーンヤコラマーカセ~」だったり。

 解説を見ると「小曽根氏が最上川の美しい風景、哀しい歴史、厳しい自然の中で生き抜いて来たもがみの人々などにインスピレーションを得て書き上げた。…クラリネット、バスーン、オーボエの侘しい三重奏は、厳しい冬に身をこごめる父母子を表し…」とあった。自分の感性は当たらずとも遠からずで、少し安心した。

 神戸で聴く東北の情景。それは人と自然が重なりあって融合すると言ったらカッコ良すぎるかもしれなけれど、一言でまとめるとそんな感じだった。人は音を発し、自然もまた葉ずれや水の流れなどの音を発している。クラシックとジャズと民謡…ジャンルなんて人が決めたもので、それらを超える音のエッセンスがこの曲に凝縮されていると思った。

KENJI

追記:写真はライブハウス「ソネ」。コンサートは神戸国際会館でした。コンサート終了後、小松長生さんらと行き、久しぶりに盛り上がってきました。

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コメント

今は人の優雅な時間が羨ましい!!
ミラノで踊る時の背景画を自分で描いていますが、描いても描いても終わらない。
もういい加減荷物をまとめなければいけないのに・・・
ということで、kennjiさんのゆったりした時間に嫉妬している私です。

なんと、休み無しだったらしいひと月をひと晩で挽回しましたね。数少ないCDのなかから小曽根真、Jams Genus、Clarence Penn のRebornを久しぶりに聴いてみました。たまにジャズもいいねぇ。

神戸は震災の直後に行ったきり、ずーっと訪れてません。
その前は、年に一度くらい行っていて、
三宮・生田神社周辺をうろうろしてました^^
SONEも震災前に1度行きました。なつかしいなぁ。
国際会館も新しくなったんですよね?
またゆっくり訪れてみたいです。

>影山のり子さん
いよいよミラノですね。海外へ出かけるときの荷物ってあれもこれもと思っているうちに引越し作業みたくなってスーツケース一杯になりますもんね。初めのうちはそうでした。女性の場合そういかないと思いますが、僕は現地通貨とカード、2日分の下着と着替え、ノートパソコン、あとは現地で調達することにしたらスーツケースがすっからかんになりました。
今月末ニューヨーク出張の予定なのでその足でついでにミラノへも行けたらと思っています。

>seikoさん
小曽根さんのCDの中でRebornもなかなかいいですし、その一つ前のTreasureもお気に入りです。6年前にサントリーホールで聴いたガーシュインのラプソディインブルー以来、小曽根クラシックの大ファンで、CDが出たら真っ先に買おうと思っています。

>kazueさん
国際会館は震災後新しくなったようで、地元の方によるとそれまではボロボロのホールだったようです。横浜といい神戸といい港町にはジャズが似合いますね。気仙沼はジャズに加えて演歌も盆踊りも似合う素敵な街だと思います。ホメ殺しではないですよ。結局音楽は人が奏でるものだから、心からにじみ出る温かさというか、そういったスピリットが音に反映されるのだと思います。今度帰ったら安波山の頂上で八代亜紀の舟歌でも歌おうっと。

kenjiさん違うのですよ。
いつもなら私の荷物も小さいのが自慢です。
が、今回は展示作品・展示用の道具一式・≪日本舞踊の夕べ≫で使用する着物・そのバックに使用する背景の松羽目・茶席で使う品一式など全て持参するンです。

そういえば今回は配偶者が何も言ってはいませんでしたが、前回の時に某所で
≪影山さんのご親類の方がいらしていますよ。なかなかです。≫と言われたが、お前の親類は多すぎてわからない、何処の所属だ≫と聞かれました。
そこで≪米≫と答えましたが、お相手のニュアンスはどうもお褒めの言葉っだたらしいですよ。

>影山のり子さん
それはそれは失礼しました。茶道具に着物に作品にと舞台道具一式を持っていくとは大変でしょう。僕のように放浪じゃないですもんね。
僕も某所で「タケちゃんって影山さんと親戚だったのかあ。何で今まで教えてくれなかったんだ~」と言われたことがありました。もちろんニュアンスは好意的なもので、ご立派に生きておられる親族のおかげで僕も助かっています。米族、土族、旅族、馬族…おかげさまで米族魚町科は幾多の品種改良を重ねて大量に、しかもしぶとく根付いているようです。

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