鉄子、おいてけぼり
岩泉へ向かう列車には僕らと同じようにカメラを携えた人が数人、部活の遠征らしき地元中学生が10人、水汲みにきたであろうおじさんが1人、地元の人が数人。1両編成の気動車がグオングオン音をあげて勾配をかけあがる。トンネルに入ると気圧差で落ち葉が列車を追いかけてくる。パーミルがすごいだの、土崎工場製だの、テツならではの会話が弾む。
岩泉駅から折り返して茂市駅へ戻る途中、押角駅で降りるか悩む。駅テツが車で迎えに来てくれるという。「KENJIどうする?」と鉄子に聞かれるが、僕は降りないことにした。鉄子は遠くをみつめ、2〜3秒悩んで降りると決めた。彼女はマチュピチュ遺跡へ一人で旅したり、琵琶湖を自転車で一周した強者だ。30分位ひとりでも大丈夫だろうと踏んで押角駅で見送る。車掌が「この人本当に降りるの?」みたいな表情をして、なかなか発車しない。押角駅へ観光で来たであろう家族が遠くから鉄子をのぞいていた。
15分後、見知らぬ番号から着信する。鉄子からだった。
「KENJI?あたしの携帯つながらないから、別の人の借りたの。」
有事でもあったのか。
「さっき一緒に降りたの、近所の人だったの。そこで待ってるんで。」
えええ?もう近所の人と仲良くなってんの?
僕と駅テツは後悔した。たぶん、女ひとりで無人駅にいるのを心配して案内してくださったのであろう。どちらかが降りていれば案じられることもなかっただろうに。
KENJI
うそみたいなほんとの話なんですねぇ。
真っ暗なうちに出かけたヤジキタ道中、おもしがった?でしょう。
紅葉はどうでしたか。
投稿情報: seiko | 2006-10-16 06:46
>seikoさん
いろんな出会いがあるもんですね。紅葉は櫃取湿原という、標高でいったら1000メートル級のところでしょうか。高いところは黄色がかっていました。
投稿情報: KENJI | 2006-10-17 23:21