自給自足とノストラダムス
「完全版・自給自足の本」が届いた。タイトルの通り開墾から収穫まで、果てはメタンガスの作り方などが1冊にまとまっている。先月釜津田へ行ったとき、20年前に読んだ本と似た風景だと思い出して調べたら、版を重ねること19回。ロングセラーになっていた。
当時中学生だった僕は何度も借りた。土地があるわけでも、川があるわけでもないのに、この一冊で何でもできると夢を見た。水車小屋で自家発電を試み、オーブンで暖をとる自分を想像し、たしかメタンガスの作り方はメモしていたはずだ。
そんな気持ちになったのは、ノストラダムスの予言への不安からだ。1999年7の月まであと12年しかない。僕は26歳で死ぬのか。彼の予言が思春期の情緒に火を注ぐ。地球滅亡なのに自給自足して生き延びたいという、少し考えれば分かることを真剣に悩んでいた。今思えば世紀末への不安と、自分自身の将来の不安が重なって、現実逃避で読んでいたように思う。
あれから20年。不安は消えたが、現実逃避の一冊であることは変わらない。机から手放せないんだもの。
気仙沼市図書館にまだあるかな。あったらぜひぜひ。
KENJI
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