蕨野の棚田
水曜日、唐津市役所にいる先輩を訪ねたら、市内にある蕨野の棚田が国の文化的景観として答申されたという。その先輩は東京にいた時も唐津弁、同郷の村田英雄を好んで歌い、これでもかというほど郷土愛に満ちていた。久しぶりに会って「棚田は日本の食と農の原点だ」と熱く語るのを見て興味がわき、予定を変更して見てきた。
棚田は唐津市街から車で南へ35分、標高764mの八幡山の斜面にある。その数1050枚、45ヘクタール。標高150mから420mまで谷間の傾斜地にびっしり詰まっていた。googlemapでみるとこんな感じ。恐竜の骨みたい。てっぺんには展望台があって、そこから眺めた棚田は写真では言い表せないほど壮観だった。
棚田を見て、僕は人の叡智と執念を見た思いがした。ここまで開墾する熱意と築石技術。機械化なんて到底無理だろう。調べたら「手間講」と呼ばれる集落の相互扶助があり、造成も修復も皆でする。そういった維持管理システムも含めて文化的景観になるという。春になればシャンパンタワーのように水が張られていく。水面がキラキラ光るんだろうな。秋には斜面に黄金色の稲穂が広がる。森で蓄えられた水、地形を活かした栽培、それらを無駄なく使う人、これが自然の循環にそくした営みだと思った。
KENJI
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