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蔵掃除3回目。ある程度整理できた。僕がなぜ蔵掃除に夢中か。初めは興味本位だったが、手紙やら通い帳やらが出てきて、行間からご先祖さまの生き様を垣間見たからだ。
sakichi翁の弟、TおじさんとRおじさんは戦死した。どういうわけか戦地へ届いたTおじさん宛の手紙が包装紙にくるまれていた。形見にと戦友が送り届けてくれたのか、保存せよと本人が送ったのか今となっては分からない。妹たちからの手紙には「となりのふさちゃんのネコを描きました」とか、「一生懸命勉強いたします」と年齢に応じた精一杯の励ましが書かれてある。中でも戦地へ赴いていたsakichi翁からはこうあった。
「俺は充五分に覚悟ができた。」
これを見て涙が止まらなかった。20代そこそこのあんちゃんが死を覚悟する。しかも自分のじいさん。覚悟が最悪の事態に向けば、いまここに僕はいない。それに弟たちを鼓舞したsakichi翁にしてみれば、生き残ってしまった自分を激しく責めたことだろう。そういう類の話は僕たちにいっさい話さなかった。じいさんよ、なんで教えてくれなかったのかと思ったが、聞かなかった僕が悪い。とはいえ聞いても言わなかったと思う。自分のことに関してはことさら無口だったから。それがこういった形でsakichi翁の生き様に触れ、ご先祖さまの思いに触れ、本当にありがたい。
生きた証は死んでからでも十分間に合うと思った。
KENJI
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文化財保護・芸術研究助成財団
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