湾東を歩くその3
湾奥にある造船所でメンテナンス中の船を見つけた。マグロはえなわ漁船だろうか。船底から見上げると迫力があって、ご覧のようにトラックがミニカーに見えてしまう。それにしてもどうやって陸へ上げんの?横風で倒れるんでないの?船底はなんで赤いの?次々と疑問がわいてきた。そのうち地下鉄漫才が脳裏に浮かんで、春日三球が「考えると夜も眠れませんね~」と語っている。誰かに聞きたかったが休業日のようで入口にはロープが張られて人影はなく、吹雪も強くなってきたのですぐに立ち去った。
迫力の余韻に浸りながら歩くこと数分。今度は『おいらの船は300とん』が浮かんできた。『港町ブルース』と並んで、気仙沼では定番の宴会ソングだ。1975年にリリースされたこの曲は、遠洋で暮らす漁師の心情を七五調の歌詞で表した演歌である。最後の5文字を「け~せん~ぬ~ま~~ アーエンヤコラセー エンヤコラセィッ」と歌って締めるのが気仙沼流で、人体オールや漕ぎ手のおまけもつく。
それにしてもなぜ遠洋船は300トンなのか。調べてみると船舶には総トン数によって乗組員に必要な資格が変わり、その境界が300トンのようだ。300トン以上と以下では、船舶職員法だの海上人命安全条約だの水先法だのと海事法での扱いが変わる。だから300トンぎりぎりで建造するのだろう。進水落成記念の記事を思い出すと、たしかに295トンだとか297トンという仕様が載っていた。『おいらの船は295とん』じゃ語呂が悪い、『おいらの船は300とん弱』じゃ力強くない。歌にするなら300トンが丁度いい。
なんて書いていくうちに、総トン数はどうやって測るのか気になって調べたら、情報満載のページを見つけたので、そちらをどうそ。
KENJI
湾東を2時間弱。変化に富んだ景色もさることながら、海と人の関わりも存分に味わえる散歩でした。(おわり)
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