心知らずは親か子か
昨晩のあがらいでバーで話してくださった高濱さんは、特殊炭素製品で世界一の取扱高をもつ専門商社の社長だ。大手商社に就職して石油ひとすじ、その後分社化した子会社の社長として業績を伸ばし続けている。あめ玉からミサイルまで取り扱う商社のビジネスの進め方、新人時代や海外赴任時代のエピソード、話の端々からいくつもの修羅場をくぐり抜けてきたのが伝わってきた。中にはマフィアにピストルを突きつけられた同僚もいるという。そういった話の中で、この一言がとても印象的だった。
「僕はこの餅で学校出て、今の仕事に就いています。焼いて食べるとおいしいです」
会場に気仙沼で餅屋を営むご両親から豆餅が届いていた。搗きたてをと、気仙沼から参加したマックス君が新幹線で運んでくれたという。なんて有りがたいのだろう。心意気を示してくれる人たちに囲まれた有りがたさ。それに「この餅で」と話す姿にご両親とふるさとへの感謝を感じた。こういうことは心から思っていないと言えないと思う。頭では分かっていても「この米で学校出ました」と僕は言えないもの。
帰り道、そんなこんなを振り返りながら「親の心子知らず」がふと浮かんできた。調べたら「子の心親知らず」という諺があることも知った。結局どっちもどっちなわけで、高濱さんの餅を食べながら、心を知るかどうかは人によるものだと思った。
KENJI
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