芸術の秋part10 北大路魯山人

　北大路魯山人の器が残る料亭へ行った。次の献立が渋滞するほどまじまじと眺める。といっても10年位前に「知ってるつもり？！」で見た程度で、知ったかぶりできるほどの知識はない。覚えているのは「頑固で豪快な人」「稀代の芸術家」くらい。いかんいかん、また邪念で見ている。基本姿勢は「ボーッと」だろ。そういう思いが巡る時点ですでに邪念だ。

　二品目からは構えるのをやめ、流れにまかせて眺めたら確かに伝わってくるものがある。ほんの一瞬だけど、紙芝居に1枚だけ違う図柄が入ってくるような感覚。連続フィルムに１コマだけ違うのが混じっているような。なんて表現したらいいんだろう。現在の時空に過去がヒョイと現れるような。ちょびヒゲで丸メガネのおっさんがニヤリと笑っているのが浮かんだ。

　その時「この人、イタズラ好きだったかも」と思った。魯山人といえば土味があり、洗練された武骨さというイメージだったが、曲線がとてもきれいだ。しょうゆ皿を見てそう思った。焼物についてきた蓋も、こんな曲線出せないと思うほど美しい。ひっくり返したら手にしっくりなじむ。「かわいい～!!」と叫びたかったが、女子高生じゃあるまいし場所も場所なので心に留めた。武骨さもあり、キュートさもありの魯山人は人を驚かすのが好きな人だったんじゃないか。それをトイレで確信した。便器が魯山人作なんだもの。

[本日の教訓]

　芸術は、みそくそだ。

KENJI

Comments

[投稿情報: 着物作家]

魯山人の器を使っている料亭！！！
なんて贅沢な体験＾＾
先日バッタリお会いしたときにも話したけれど、人間国宝だった漆の大家、故松田権六先生が≪本物と偽物を見分けるには、本物だけ見ていれば自然に偽物と見分けられる≫を実践したのね＾＾

先日の花柳寿々菊さんの国立小劇場をＵＰしたら・・・kenjiさんがいっぱいいた＾０＾

[投稿情報: KENJI]

＞着物作家さん
ホント貴重な体験でした。本物だけを見る、言い得て妙ですね。国立小劇場、ひぃぃまた写ってる…。1週間限定ですよね。はずかしい。