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というわけで、閉店中のベイシーへ。スピーカー正面の席に案内される。僕はオーディオにさほど興味があるわけでもなく、ホスト役なのでスピーカーに背を向けて座った。
1枚目。名盤中の名盤、アート・ペッパー。アルトサックスが鳴り出した瞬間、思わず振りむいてしまった。なに、この立体感。誰かそこで吹いてんじゃないの。目をつむると鼓膜を抜けて脳内で弾かれている感覚におちいる。スピーカーの手前の席で、マスターが足を組み、腕を伸ばしてうつむいている。その格好が「これがオレの相方だ。今日もいい音だしやがって、フッ」とでも言いたげだ。って僕の想像だけど。
2枚目。トミー・フラナガン。ホスト役なんかどうでもよくなってきた。僕も正面に座りなおし、スピーカーと対峙するがかなわない。前後左右どころか上下からも包み込まれる。ピアノの響板の中で、目前に弦があるような感じ。「カンファメーション」では身震いがして泣きそうになる。マスターが外へ出るふりをして、僕たちの様子を伺いにきたのだろう。その背中に「してやったり」と書かれているように見えた。って、これも僕の想像だけど。
いま考えてみると、この2枚のレコードは一見客にあったものを選んでくれたように思う。あっという間にフルコースを平らげた気分だもの。
無言だけど音でもてなしを受けて、3人とも大満足で店をでた。
KENJI
おととい、広島在住の友人夫妻と一関で会う。二人とも初の東北旅行らしく、オーディオマニアの夫がどうしても外せない聖地ということで、ジャズ喫茶「ベイシー」へ行く。けれども水曜は定休日。だめもとで駅から電話してみた。
「はい~?」
この声はたぶんマスターだ。ということは開いてるのだろうか。客商売なら普通「ありがとうございます。ベイシーでございます」とでも出るだろうに、定休日なのに電話する輩に嫌気がさしたのだろうか。それとも民家に間違い電話?名乗らぬ相手に緊張して、標準語とも気仙沼弁ともいえぬイントネーションで話してしまった。
「あの~、今日お店はやってますでしょうか。」
「わざわざ来てんだったら開げっから。定休日の看板あがってっけど、そのまま入ってきて。ガチャ!」
中途半端な訛りが茨城あたりに聞こえたのだろうか。どこから来たかいっさい話さないうちに電話が切れた。通話時間は17秒。ともかくも、本当に「わざわざ来た」友人は狂喜乱舞した。
へりくだりもせず、着飾りもしない応対に職人気質を感じながら、ベイシーへ向かう。
KENJI
台風10号の影響で、ここ数日小雨が降ったり晴れたりで、蒸し暑くってたまりません。庭木に何とも不思議な白いじゅうたんがあちこちに広がっていたので数枚写してみました。
クモの糸には撥水性と保水性をもち合わせているんですね。こまかな水滴となって広がっていました。何だかネックレスみたいです。そのうち雨粒がつるんとくっついて、滴り落ちていました。その様子にジッと目を凝らしてどんなクモが取り仕切っているのか待ってみましたが、、、わたしの形相に驚いたのか、出てきませんでした。もっと優しい目で探せばよいのかなぁ。
長かったような短かったような初盆が終わりました。
油断した去年は風邪ひいたっけ。用心、用心。
ブログをご覧の皆様「残暑お見舞い申し上げまーす。」
seiko
当店など、被災した内湾地区の国登録文化財は次の団体・企業のご支援で応急修理が進められています。世界各地からのご支援に深く感謝申し上げます。
文化財保護・芸術研究助成財団
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