博多料亭へ行く
昨晩は博多泊。10年ぶりに博多料亭へ行った。残念なことに携帯もカメラも電池切れ。名前だけみれば高級っぽいけれど大衆割烹で、コの字型のカウンターの中にプールのようないけすがあり、板前のさばきぶりが遠目で見える。「ひとりでも十分楽しめますよ〜」と言われて、カウンター席でひとり店内を観察していた。いわし、おこぜ、黄金鯵と種類毎に仕切られたいけす。新人らしき職人がタモですくう。注文が入ったのだろう。なんでか二匹すくって、包丁を握る板前が選んだあと、一匹はいけすに戻された。命拾いをした魚は何事もなかったように泳いでいる。後ろの小あがりでは酔いつぶれたおじさんが声を出して嘔吐していた。たぶん会社の打ち上げか何かだと思う。そんな苦悶の嗚咽に客はだれも動じない。なんか博多だなあ。勢いがある。
一人客に配慮する仲居さんがやってきたので、色々質問した。なんで二匹すくうのか。それは注文人数に合った大きさを選ぶためだとか。僕はてっきり鮮度を見分けるのかと思っていた。それじゃ結局最後は死に損ないのヨレヨレ魚になるのかと考えたがそうではなかった。
タモですくう係は新人か。たしかに板場では新人だが、勤続13年の板前だという。この店は焼き場、揚げ場と分業制になっていて、他の部署に異動したら勤続年数にかかわりなく一から修行を積み始めるらしい。仲居さんは「あちこち回される店もあるんですけどね、ウチは固定なんです。独立するときどっちがいいんだか」とおっしゃっていた。
いやあ、いけす眺めながら飲むのって意外と楽しい。
KENJI
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