豊かな食は
昼食も長かった。いま料理してると聞いて1時間半。フレデリックの奥さんがシーツを干し始めたと思ったらテーブルクロスだった。毎昼こうなのか聞いたら、天気の良い日はテラスで食事するという。ミラネーゼリゾットにトマトときゅうりのサラダ、豚肉のオーブン焼き。ワインを飲みながらまたも会話が止まらない。何を話しているか分からないけど楽しい。しかもデザートとエスプレッソまでついてきた。2時半に始まった食事が終わったのは4時。長っ。
そして今晩は友人宅でパーティーがあるという。どうも友人の子息が洗礼を受けたか何かでお祝いがあるらしく、僕も参加させてもらった。
麓の友人宅には既に30人以上集まっていた。子供から大人まで、なんとまあひっきりなしにやってくること。とりあえず「チャオ(やあ)」「ビーノ(ワイン)」「グラツィエ(ありがとう)」の3語でなんとかなった。片隅に固められたテーブルには、さんま20尾は入るトレーがずらりと並び、そこには数種のラザニアやティラミスがどーんと。やれ食えそれ食えと親戚のおばちゃんみたいに次から次へとすすめられる。おばちゃんの勧めたがりは万国共通だと思った。隣では僕と同じ年頃の男性が婆さんにウィンクしたら、婆さんも皺を目一杯寄せたウィンクでこたえていた。その風景に吹き出してしまったら、婆さんは僕に話しかけてきた。通訳すると「私には7人の子供がいるの。その一人よ。」ということだった。なんだ、そうなのか。ここに集まっているほとんどは家族なのか。親子でウィンクし合うなんて僕にはできない。
ペロションさん宅にしても、友人宅にしても、食が豊かというより人間性が豊かだ。どちらが欠けてもだめなんだろうなと思った。
豊かな食は人にあり。
スローな食は家族にあり。
ふるさとにうまい酒あり(男山)。
KENJI
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